檻の外へー極道なんて、大嫌いー
「…………」
暗がりの中、硝煙を燻らせた大型の自動拳銃(オートマチック)を片手に下げて立っていたのは――漆黒のスーツを血と硝煙で汚した、義兄だった。
ただそこに立っているだけで、周りの空気が凍りつき、人を殺してしまいそうなほどの凄まじい「殺気」が、彼の全身から立ち昇っている。
「……か、魁……?」
私が信じられないものを見るように固まっていると、魁はゆっくりと銃を下ろし、忌々しそうに舌打ちをした。
そして、纏っていた強烈な殺気を少しだけ収め、低い、けれどどこか焦りを孕んだような声で私に言った。
「無事か……? しくじりやがって。……とにかく、こいつらふん縛ってさっさとずらかるぞ。サツが来る」
その横顔には、いつも私を震え上がらせる冷酷さだけでなく、わずかな安堵の色が混じっているように見えた。
私が強がって拒絶した「死神からの慈悲」は、結局、最悪のタイミングで私自身の命を救い、私がいかに無力であるかを残酷なまでに証明してしまったのだ。

< 66 / 168 >

この作品をシェア

pagetop