札束でビンタから始まる怪力令嬢の勘違い契約結婚~お飾りの妻は最高です~
数時間後──。


オリヴィアと父とともに遠い目で医師を見送った。


「お金って……すぐになくなるのね」

「…………ああ」

「薬って……高いのね」

「…………ああ」


父はオリヴィアの問いかけに力なく首を縦に振っていた。
結果として、オリヴィアの貯金など今回の診察代と数回の薬代で消えていった。
辺境伯領から出たことがなく、世間知らずなことが仇になったようだ。

(あんなに苦労して貯めたのに、一瞬で消えるのね……)

長年の無理が祟った母の容態はあまり思わしくないようだ。
お金がないままでは薬も買えず、母は救えない。

(どうにかしてお金を稼がないと……!)

隣国にいる兄に連絡して頼るにも時間がかかり過ぎてしまう。
父は屋敷を担保にした事業があるため、ここから動けないだろう。
母の世話を父に任せるのは気が引けるが、今回のことを反省して領民たちに助けてもらうように頭を下げるそうだ。


「オリヴィア、苦労をかけてすまない」

「……お父様、今更です」

「ぐっ……!」


母同様に痩せこけた父は下唇を噛んでいる。
頭も白髪が増えて、心労から老け込んでような気がした。

昔から父には振り回れっぱなしだった。
だけど大好きで尊敬する父には、こんな顔をしてほしくない。
オリヴィアは覚悟を決めて父を見た。
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