札束でビンタから始まる怪力令嬢の勘違い契約結婚~お飾りの妻は最高です~
オリヴィアの胸元を見ると、たしかにほんのりと肌が赤くなっている。
アリスが淹れたばかりの紅茶をかけたのが原因だろう。
オリヴィアがアリスにかけたときはもう冷めていたため、肌も赤くなることはなかった。


「ま、待ってください! わたくしも手首が腫れて痛くて……っ」


ロベールを引き止めるためなのか必死にアピールするアリスは腕を上げた。


「折ってはいませんし、そこまで強く力を入れていないので、跡はすぐに消えますよ?」

「…………は?」


オリヴィアの言葉通り、アリスの手首の赤みはもうすっかりなくなっていた。
彼女の肌が白いため跡が残りやすかったのかもしれない。



「それにわたしは……ぎゃっ!」


言いかけたところでロベールは軽々とオリヴィアの体を抱え上げた。
不意をつかれたため、口から変な声が漏れる。
反射的にジャケットが落ちないように押さえたオリヴィアはロベールにされるがままだ。
アリスのドレスと同じ、薄ピンクの瞳が大きく見開かれているのが見えた。


「オリヴィア、足の甲が赤く腫れているな」

「……っ!」

「歩けないだろう? 俺が部屋まで運んでやる」

「いえ、大丈夫です! 自分で歩けますからっ」
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