札束でビンタから始まる怪力令嬢の勘違い契約結婚~お飾りの妻は最高です~
こんな女性らしい扱いをされたのが初めてなため、どうしたらいいかわからない。
いつのまにかマルセルが隣にいて、部屋の扉を開けてくれた。


「マルセルさん、ロベール様を止めてくださいっ」


オリヴィアの叫びは虚しく、マルセルはにこりと微笑んだまま何も言うことはない。
マルセルが開けた扉の部屋に入ると、二人の寝室だということに気づく。
そのままベッドに投げられるように降ろされて声を上げた。
ロベールがオリヴィアに覆い被さるようにして抱きしめてくる。


「……何をっ!」


背に腕を回した彼がなにをしているのかわからなかったが、手慣れた様子でドレスの紐を外そうとしている。


「嫌っ、離して……!」


咄嗟に拒絶するように手を伸ばしたところでハッとした。

(しまった……! ロベール様の骨が折れてしまうわ)

この手がロベールに当たれば間違いなく無事では済まない。
母から怪力を受け継いでいるオリヴィアは、いつも何かをするときは力がかからないように意識していた。

でなければ、すべてのものを木っ端微塵にしてしまうからだ。
幼い頃からそれはそれは細心の注意を払って生活してきたつもりだった。
でなければ、相手の骨など枝を折るように簡単に折れてしまう。
父と兄のような特殊で頑丈な体質でなければ耐えられるはずがないのだ。

しかしオリヴィアの予想とは違うことが起きた。
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