札束でビンタから始まる怪力令嬢の勘違い契約結婚~お飾りの妻は最高です~
二人はしばらく見つめ合っていたが、耐えられなくなり先にオリヴィアが視線を逸らしてしまう。
窓の外はいつのまにか日が落ちて、空が暗くなっていた。


「医師を呼んでくる」

「いえ、大丈夫です」

「だが、胸の皮膚は火傷しているだろう?」


オリヴィアは首を横に振った。
火傷ではなく、ただ肌がほんのりと赤くなっているだけだ。
胸元を見ると薄茶色の液体が染み込んでいる。
自分の怪我よりも気になるのは、やはりドレスのことだった。


「ちなみにこのドレスって……」

「ああ、お前が弁償しろ」

「────ッ!」


オリヴィアは思いきり顔を顰めた。
今、かなり不細工な顔をしているだろうが、それほどにダメージが大きかったのだ。

(うぅっ……一番恐れていたことが起こってしまったわ)

このままドレスを汚すたびに代金を請求されてはたまらない。

(やっぱりワンピースを持ってくればよかった)

今度は紅茶をかけられようと、ケーキを投げつけられようと、すべて避けなければと固く決意する。

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