札束でビンタから始まる怪力令嬢の勘違い契約結婚~お飾りの妻は最高です~
「ご、ごっ、ご、ごめんなさい……!」

「……」

「わざとじゃないんですっ、骨を折るよりはいいかなって……! あっ、でも治療費が……! 今度から紅茶には気をつけますのでぇ」


先ほどの勢いは一気に消えてしまい、寒さに耐える動物のようにプルプルと震えていた。
焦りからうまく言葉を紡げない。
おそらくオリヴィアが見たことがないほどの大金が必要な高級なドレスなのだろう。


「フッ……!」

「なっ! ロベール様、笑っている場合ではありませんよ!」

「君が着ていたのもアリスのものと同等のドレスだ。今回はおあいこだな」

「はぁ……よかったぁ~」


どうやらアリスのドレスもオリヴィアが着ているドレスも値段は変わらないらしい。
それゆえに、お互いさまなため弁償しなくてもいいようだ。
安心した瞬間、体の力が抜けていく。
ロベールが口元を押さえて笑っていることにも気づかずに、胸元を押さえている腕に注意が向く。

(エリーを呼んで着替えたほうがいいわよね。普段は侍女服を貸してもらおうかしら)

いいことを思いついたと、オリヴィアは顔を上げた。
そうすれば汚したところで、ドレスよりはマシな値段で買い取ることができるのではないか。
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