札束でビンタから始まる怪力令嬢の勘違い契約結婚~お飾りの妻は最高です~
「エリーを呼んでくる。少し待ってろ」

「あっ……はい」


ロベールは何事もなかったかのように部屋の外へ出た。
部屋の外にはマルセルとアイナスが待機していたようだ。
しかしいつも完璧な彼らは腰を折りながらブルブルと震えているではないか。
アイナスに関しては壁に寄りかかって震えていた。
足元も覚束ない様子に心配になり声をかけようとするものの、自分の今の状況を思い出して踏みとどまる。

(彼らは勝負を見届けようとしていたのかしら。彼らの腹部が痛くなったから中断したの?)

扉が閉じる前、振り向いたロベールの口角が上がっていた。

(次は絶対に負けないということかしら……いい度胸じゃない)

ポツンと取り残されたオリヴィアは自分も負けないと気合いを入れていた。
しかし予想外の出来事ばかりで心が揺さぶられたのも事実だ。


「何なのよ、もう……」


オリヴィアはシーツに包まりつつ、赤くなった顔を隠した。

(……あんなに男性と近づいたのは初めてだわ。よくわからないけど、すごくいい匂いがした。あれが貴族なのね……!)

言葉にはできないが、今まで出会ってきた男性とは違うことだけは確かだ。
なぜか顔が赤くなるし、恥ずかしくてたまらない。

(いけない……! こんな気持ちだと初夜の勝負に勝てないわ!)

ロベールの唇が自分の唇と触れてしまいそうになっていた。
唇を押さえながらオリヴィアは自分の気持ちに困惑していたのだった。
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