札束でビンタから始まる怪力令嬢の勘違い契約結婚~お飾りの妻は最高です~
それがまず一番に心配したのがドレスの弁償代とはおもしろすぎるではないか。
ロベールは笑ってしまいそうになる口元を手のひらで押さえながら震えていた。

(まさか援助のことを気にかけているとは……)

大胆な行動を見る限り図々しいかと思いきや遠慮がある。そこも貴族の令嬢とは真逆。

(それにあの規格外の力……)

油断していたにしても、ロベールが女性に馬乗りになられることなどありえない。
ディルムーン辺境伯を殴り飛ばしていた母親のミリ譲りの怪力なのだろう。

(ディルムーン辺境伯はオリヴィアはどうするつもりだったのだろうか)

彼は王家の血筋も引いている。
だからこそロベールは彼の弱い部分につけ込んだのだ。

正直、ディルムーン辺境伯が窮地に追い込まれていることになど気づくことはなかった。
そこは英雄としてのプライドだろうか。
だが、その皺寄せが家族にいっているようだった。


「今までどんな暮らしをすれば、あのような考え方になるのでしょうね」

「オリヴィア様は特殊すぎますよ。普通ではありませんから」


笑いすぎたのか横腹を押さえながらマルセルが言うと、表情はなんとか取り繕っているが小さく震えるアイナスも小さく頷いている。
今まで笑うという感情はすべて捨ててきたはずだった。
そんなことも忘れて声を出して笑ってしまった。
エンバルト公爵家の当主とは失格なのかもしれないが、今は彼女のことで頭がいっぱいだった。
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