札束でビンタから始まる怪力令嬢の勘違い契約結婚~お飾りの妻は最高です~
あとは任せて、離れた位置に移動しようとしたときだ。
オリヴィアはこちらを見つめるロベールの姿に気づく。


「……オリヴィア」

「ロベール様、おかえりなさい」

「…………」

「先ほどお戻りになられたのですか?」


オリヴィアがそう言うと、ロベールがこちらにやってくる。
彼はじっとこちらを見つめたままだ。
オリヴィアが首を傾げると、彼は血が付着した頬を親指でそっと撫でた。


「あの……?」


オリヴィアが声を上げると、彼はジャケットを脱ぎ出したではないか。
それを後ろに控えていたマルセルに預けたようだ。
何をするつもりかと思いきや、手を離して屈むような姿勢を見せた。
タックルをされるかもしれないと警戒したが次の瞬間、体がふわりと浮いた。


「……ひゃ!?」


それからオリヴィアの足元を隠すように、ロベールのジャケットがかかる。
ロベールの行動に驚いて、彼にしがみついてしまう。
しかし自分が汗で濡れていたことや血がこびりついていることで、すぐに体を離そうと彼の肩を押した。


「は、離してください……!」

「大人しくしていろ」
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