札束でビンタから始まる怪力令嬢の勘違い契約結婚~お飾りの妻は最高です~
「エリー……これはどういうことだ」
「…………」
ロベールに睨まれたエリーは気まずそうにスッと視線を逸らす。
もう一度、名前を呼ばれて肩を揺らした。
どうしてエリーが怒られるのか不思議に思ったオリヴィアは、彼女を庇うように声を上げた。
「エリーは悪くありません。これは戦闘服ですよ!」
「……戦闘服?」
エリーは額を手のひらで押さえたあとに「申し訳ありません」と呟いた。
「はい! これを着て夜にロベール様を待ってました」
「は…………?」
ロベールはオリヴィアのやる気満々の様子を見て驚いている。
「それはどういう意味かわかっているのか?」
「もちろんです! 毎晩、体を動かして練習しましたから」
「……そんなにやる気があるとは意外だな」
ロベールがオリヴィアの顎に指を置いてクイッと上げる。
挑発されていると思ったオリヴィアは余裕たっぷりに口角を上げた。
「肉弾戦はあまり得意ではないですが、負けるつもりはありませんから!」
「……その姿で戦うつもりか?」
「もちろん! とても動きやすいですよ」
「だったら俺は負けてしまうかもな」
ロベールは負けると言いながら笑みを浮かべている。
それも余裕があるからだろうか。
それにオリヴィアに触れる手やこちらを見つめる表情が、以前よりずっと優しく思えた。
フッと笑みを浮かべたロベールは「楽しみにしている」と、オリヴィアの髪を軽く撫でる。