札束でビンタから始まる怪力令嬢の勘違い契約結婚~お飾りの妻は最高です~

音もなく現れた影蜘蛛たちは深々と頭を下げた。
その中の一人の男性は一歳ほどの子どもを抱えて、今にも泣き出してしまいそうだ。


「もしかして……あなたがマイク?」

「……はい」


女性が必死に名前を呼んでいたのは、どうやら自分の息子だっようだ。
オリヴィアは涙が溢れ出しそうになるのをグッと堪えた。


「マリアンを救ってくださり、ありがとうございます……!」


彼は影蜘蛛のまとめ役だそうだ。
マリアンとは夫婦だそうで、彼女を救ったオリヴィアに深く感謝してくれていた。
オリヴィアはマイクを抱っこさせてもらい小さな頭を撫でた。
ふわふわな髪、柔らかい肌に癒されていた。
マイクを渡して、深々と頭を下げた彼らは音もなく去っていく。

ロベールが影蜘蛛について説明してくれた。
彼らは孤児や行き場のない者たちがほとんどだそうだ。
厳しい訓練を繰り返して、生き残ったものたちで危険な任務も多く、最悪の場合命を落とすこともあるらしい。
それに屋敷で働いている人たちは任務に恐怖して働けなくなったものや、怪我で働けなくなったものたちを雇っているそうだ。

(ロベール様は、本当はとても優しい人なんだわ)

オリヴィアは社交界に出ていないため知らなかったが、彼らの存在自体が嫌悪されているようだ。
エンバルト公爵家は恐れられているものの、数えきれないほどの恨みをかっている。
< 159 / 216 >

この作品をシェア

pagetop