札束でビンタから始まる怪力令嬢の勘違い契約結婚~お飾りの妻は最高です~

「先ほどのお礼の件ですが……」

「何かほしいものがあるのか? 何でも言ってくれ」


何でもというあたり太っ腹なのだが、ドレスを汚して、侍女服をビリビリに破いてしまったオリヴィアがこれ以上何かを求めることはない。


「いいえ、何もないので大丈夫です」

「は…………?」

「今が幸せすぎるので、これ以上は必要ありません」

「幸せ、だと……?」


大きく目を見開いたロベールにオリヴィアは肯定するように頷いた。


「わたしの育ってきた環境や情報は知っているのですよね?」

「……まぁな」


極貧生活をしていたオリヴィアにとっては十分すぎる生活だった。
それから何度もロベールに欲しいものはと問われるが、オリヴィアが答えることはない。


「わかった。なら、数カ月後には王家主催のパーティーだ。ドレスを買いに行く」

「パーティー……?」

「そこで結婚したことを公にするつもりだ」


王都でのパーティーはすべての貴族たちの参加が義務づけられている。
オリヴィアも隣国との争いが終わったあとに一度だけ参加したことがあるものだ。
絵本に出てくる夢のようなお城で、パーティーに参加したことをぼんやりと覚えていた。
しかしまた新しいドレスを買う意味がわからなかった。
< 162 / 216 >

この作品をシェア

pagetop