札束でビンタから始まる怪力令嬢の勘違い契約結婚~お飾りの妻は最高です~
「ですがクローゼットにたくさんドレスがありますよ」

「それは普段に着るためのものだ」

「ふっ……ふだっ!? こんなに!?」


毎日、過ごすためだけにあんなに高級なドレスを着るのが当たり前だという意味がわからない。

(き、貴族って本当に貴族なのね……)

ロベールも当然だと言わんばかりの表情だ。


「オーダーは間に合わないか。既製品にはなるがサイズを合わせる時間くらいはあるだろう?」

「えっと……」

「君はエンバルト公爵夫人として表舞台に立つ。周囲の貴族たちに舐められるわけにはいかないからな」


今回、パーティーに出席するということはエンバルト公爵夫人として振る舞わなければいけないということだ。
しかしドレス以前に問題は山積みではないだろうか。


「わたし、まったくマナーを身につけていませんけど……!」

「積極的に講師の指導を受けていると報告を受けているが……」


ロベールは何が問題なのか、さっぱりわからないと言いたげだ。


「ですが……足りないことばかりですよ?」
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