札束でビンタから始まる怪力令嬢の勘違い契約結婚~お飾りの妻は最高です~
「なんだ?」

「べ、別に大したことでは……」

「そうか。その願いを言わない限り、俺は戦うつもりはない」

「……そんな!」


そうすればディルムーン辺境伯領や両親や兄の幸せのチャンスを失ってしまう。
顎が持ち上げられた手が頬を撫でる。
真剣な表情なロベールがこちらをじっと見つめている。

(いいのかな……強欲だと思われたら、もう二度と出してもらえないかも)

しかしオリヴィアの妄想はどんどんと膨らんでいく。
自然と呼吸は荒くなって、口内にはよだれが溢れ出る。

オリヴィアの願いはただ一つ。
いつも三切れほどしか出てこない肉をたくさん出してほしいということだ。

牛の肉は柔らかくて脂が乗っていて頬が蕩けてしまう。
なにより臭みがなくて食べやすいのだ。
赤身肉はさっぱりしているし、脂が乗った肉を食べた瞬間は毎回意識が飛びそうになる。

(あの味を想像したら……もうっ!)
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