札束でビンタから始まる怪力令嬢の勘違い契約結婚~お飾りの妻は最高です~
──数時間後。
馬車が山奥で停まった。
「さて、このへんに女を捨てていくか……!」
「もったいねぇよな。少しだけ遊んでくか?」
「そんなことしてたらガキ共が死んじまうだろう?」
「いつもより長旅でめんどくせぇ……食料も多く用意しなきゃいけないなんて割にあわねぇよ」
「そう言うなって。ガキ共の分があるだろう?」
「ああ、そうだな。王都から運んでんだ。少しくらいダメになっても仕方ねぇ」
「そういや、ガキどもは今回、静かだったな」
「もう何人かダメになっちまったんじゃねぇか?」
男たちは体を伸ばし、笑いながら荷馬車の中へ入る。
「おーい、嬢ちゃん」
「そんな端にいないで、出てこいよ! お家についたぜぇ?」
「ギャハハ、そうそう。ここがお前の家だ。ゆっくりしていけよ」
男たちが奥へ近づいてくる。
そしてオリヴィアの肩に手をかけた瞬間だった。
「なんとか言えよ。なぁ?」
「おい、なんか変……グハッ!」
ゴキリという音と共に、一人の男の足が曲がりその場に崩れ落ちる。
「な、なんだ……っ、グゥ!?」
後ろから羽交締めにすると、ゴキと複数の音がした瞬間、汚い悲鳴が口から漏れたあと体が倒れ込む。
あまりにも一瞬だったため、子どもたちはオリヴィアの姿を捉えることができなかった。