札束でビンタから始まる怪力令嬢の勘違い契約結婚~お飾りの妻は最高です~
「それとも今すぐにあなたたちとこの荷馬車と下山すべき?」

「い、いえ……お迎えに上がる予定です」

「時間は?」

「遅くても五時間以内には……」


彼らは的確に指示を出すオリヴィアに驚いているようだ。
普通ならば取り乱したり、状況を説明してほしいと懇願するはずなのに、と。
いつも感情を露わにしない彼らが戸惑っているように見える。
しかしオリヴィアは淡々と自分のやるべきことを進めていく。


「絨毯を広げて四人の子どもたちを寝かせたら、残りの子も見ていてね」

「わ、わかりました」

「時間がもったいないわ。すぐに動きましょう」


蜘蛛たちは頷いてすぐに散り散りに動き出す。
オリヴィアは先ほど男たちから奪ったナイフを片手に山奥へと進んでいく。

(……すぐに見つかるといいんだけど)

息を殺して音を立てないように草を掻き分けて進んでいく。
運良く小柄で扱いやすそうな猪を見つけたオリヴィアは背後に忍び寄る。


「──フンッ!」


ナイフで急所を刺すが、すぐに息絶えることはない。
痛みと何が起こったかわからずに周囲にいるものを追い払うように体を振り回している。
トドメをさしてからオリヴィアは動かなくなった猪の足を縄で縛って引きづっていく。

(近くに水場があるといいんだけど……血の匂いに誘われて猛獣が子どもたちを襲ったら困るもの)

肉の下処理をするために水場があればありがたい。
猪とともに子どもたちの場所へと戻る。

しかし悲鳴を上げられてしまい、慌てて猪を隠した。
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