札束でビンタから始まる怪力令嬢の勘違い契約結婚~お飾りの妻は最高です~
「オリヴィア様、殺してはなりません。まだ情報が……!」

「大丈夫よ! 半分だけだから」

「は、半分……?」

「…………半分、ですか」

「そう、半分」


オリヴィアは笑顔でそう言ってから荷馬車へと歩き出した。
彼らの悲鳴が一瞬だけ上がるものの、すぐに小さくなっていく。
何度か重たい音と絶叫が響き渡ると、不気味なほどに静かになった。
何事もなかったかのようにオリヴィアは子どもたちのもとへ戻る。
震える子どもたちは心配そうにこちらを見るが、オリヴィアが笑みを浮かべているため大丈夫だと思ったのだろう。


「お待たせ。わたしのお肉は焼けたかしら?」


そうすると食べ頃の肉の一面が焦げているため、子どもたちの視線がそちらに向かう。
影たちは彼らが死んでいないか確認するために荷馬車を覗くものの、あまりの惨状にそっと視線を逸らした。

オリヴィアは片腕を後ろに回す。
自分の服で血のついた拳をごしごしと拭きながら、子どもたちに向き合っていた。

焼けた肉塊を手に取り、一口をかぶりついた瞬間に声が漏れる。


「んぅ~~~っ!」


良質な脂が口の中にじゅわりと広がっていき、そのあとに肉々しい味が口内を埋め尽くす。
旨みが強く、ゴクリと飲み込むのと同時に幸せが広がっていく。

(久しぶりの猪肉、幸せ……!)
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