札束でビンタから始まる怪力令嬢の勘違い契約結婚~お飾りの妻は最高です~
「そもそも保存がきかないものを王都で売るのはおすすめできませんよ。これではもし運良く運べたとしても売れるかはわかりませんから。それと、この商人は詐欺を繰り返しています」
「……なんだと!?」
「この期に捕えたいので、協力をお願いします」
「それはもちろんだ。だが、今度はうまくいくと思ったのに……っ」
がっかりした父の表情を見ると胸が痛む。
今回は最後のチャンスでもあり、母のためにと今までよりも力を入れていたことを知っていたからだ。
(あのお父様が屋敷を担保にしているものね……)
ジョセフィーヌが壊した扉から部屋には風が吹き込んでいる。
アイナスに求愛を続けるジョセフィーヌ。
そんな彼女の突進と猛攻を慣れたようにかわしているアイナスは、風で散らばった書類を片付けていた。
オリヴィアも書類を整理しつつ、部屋を移動しようと話しかけるタイミングをうかがっていた。
「まずは複数のことを小さく始めていくのがよろしいかと思います」
「小さく? そんなことをしたら稼げないんじゃないか?」
「初めから大きく事業を始めれば失敗も大きくなってしまう。小さければ傷も浅い。それに徐々に大きくするほうが現実的ですから」
「おお……! そういうことか」