札束でビンタから始まる怪力令嬢の勘違い契約結婚~お飾りの妻は最高です~
父はロベールの身長に合わせるようにして身を屈めている。
何度も頷いているが、こうしてすぐに納得してしまうほどにロベールの言っていることには説得力があったのだろう。

(あのお父様がこんなに素直に言うことを聞くなんて……)

このまま書類が舞う応接室にいるわけにもいかない。
なんとか二人を別室に案内しようと声をかけようとするが、アイナスに引き留められて断念する。
どうやらジョセフィーヌを馬小屋で待つように説得してくれたらしい。

オリヴィアが二人の話を聞いている間、アイナスはそばにあったものでジョセフィーヌが壊した扉を直しているではないか。

(早業……!)

しかし彼がやったわけではないと気づいたのはすぐのことだ。
いろんな方向から微かな足音が聞こえたオリヴィアはチラリと父を見た。
父も一瞬だけ動きをとめて、オリヴィアに視線を送り頷いた。
彼らはロベールの配下なのかもしれない。
父が彼らを許可するならば、オリヴィアも何も言う必要はないだろう。

二人はテーブルを挟んでソファに座った。
お茶を用意しなければと思い立ったオリヴィアだが、先にアイナスが自分がやると目配せをしてくれた。
おそらく父が母の看病をするため汚してしまった台所を案内するのは気が引けたが、この際は致し方ない。
アイナスを案内するために部屋を出ようと端を歩いていく。

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