札束でビンタから始まる怪力令嬢の勘違い契約結婚~お飾りの妻は最高です~
「戻りましょう」
オリヴィアはなんとなく、アイナスの手を掴んで引き留めた。
「オリヴィア様……?」
「アイナスさんも、あなたもあなたも、そこのあなたもありがとうございます」
オリヴィアは彼らが潜んでいる場所に視線を送りつつ、お礼を言っていく。
それにはアイナスの眉がぴくりと動いた。
「……いえ」
「その前にお母様に薬を……」
「食事と薬はもう手配しております。しばらくは執事や侍女、シェフと医師を置いていきますので心配ありません」
「え…………?」
いろいろと聞きたいことがあった。
まずはディルムーン辺境伯の状況をどこまで知っているのかということ。
それに母の病のことも把握していることに驚くばかりだ。
屋敷に人が足りないことまでわかっているため、オリヴィアも戸惑いが大きい。
エンバルト公爵領から馬に乗れば二日はかからない。
ロベールは馬車で来ているため、三日ほどかかっているはずだ。
どうしても彼らのやっていることや時間が噛み合わなかった。
混乱していたオリヴィアの表情を見て察したのか、アイナスが先回りすように口を開く。
「後ほどロベール様の口から説明があるかと思います」
「……はい」