札束でビンタから始まる怪力令嬢の勘違い契約結婚~お飾りの妻は最高です~


「戻りましょう」


オリヴィアはなんとなく、アイナスの手を掴んで引き留めた。


「オリヴィア様……?」

「アイナスさんも、あなたもあなたも、そこのあなたもありがとうございます」


オリヴィアは彼らが潜んでいる場所に視線を送りつつ、お礼を言っていく。
それにはアイナスの眉がぴくりと動いた。


「……いえ」

「その前にお母様に薬を……」

「食事と薬はもう手配しております。しばらくは執事や侍女、シェフと医師を置いていきますので心配ありません」

「え…………?」


いろいろと聞きたいことがあった。
まずはディルムーン辺境伯の状況をどこまで知っているのかということ。
それに母の病のことも把握していることに驚くばかりだ。
屋敷に人が足りないことまでわかっているため、オリヴィアも戸惑いが大きい。

エンバルト公爵領から馬に乗れば二日はかからない。
ロベールは馬車で来ているため、三日ほどかかっているはずだ。
どうしても彼らのやっていることや時間が噛み合わなかった。

混乱していたオリヴィアの表情を見て察したのか、アイナスが先回りすように口を開く。


「後ほどロベール様の口から説明があるかと思います」

「……はい」
< 61 / 216 >

この作品をシェア

pagetop