札束でビンタから始まる怪力令嬢の勘違い契約結婚~お飾りの妻は最高です~
「その言葉、そっくりそのまま返します。前回と違って高圧的ではないですし、見た目も性格も違いますね?」

「あの格好のときは、ああ振る舞うと決めているんだ。以前の格好のほうがよければそうするが?」


少年なのに大人びた口調。なんだか脳が理解を拒んでしまう。
ロベールの提案に首を横に振った。


「今更、君に逃げられては困るからな」

「お金で買われたんです。恩は返すつもりですから」

「……不満か?」

「まったく不満はありません」


巨漢で威圧的だったロベールは、今度はにこやかに微笑む少年になっていた。
自分より背が低くかわいらしいからか、警戒心が解けていく。
それにここまでディルムーン辺境伯のためにしてくれたことを心から感謝していた。

ロベールがフッと笑い、一気に表情が抜け落ちてしまう。
その冷たい視線は背筋がゾッとしてしまうほどだ。
そこに敵意や殺気もない、まったく感情がないのだろう。


「改めて要望を伝えていく」

「……えぇ」

「一年間、僕の妻として振る舞ってもらうからな」
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