札束でビンタから始まる怪力令嬢の勘違い契約結婚~お飾りの妻は最高です~
アリスの口端がぴくりと動いた。
一方的にマウントをとるつもりが、好意として受け止られてしまえば逃げられない。
それにアリスを完璧な令嬢と持ち上げたのだ。
彼女は完璧に振る舞い、間違えるわけにはいかないだろう。
少なくともオリヴィアの前では。

(不利な状況を利用する……お父様の教えが役に立つなんてね)

これでオリヴィアを馬鹿にするような発言をしたからこそ、失敗は許されない。
彼女は令嬢としてオリヴィアより優れている。
それに講師の顔も潰さずに済むだろう。
緊張がほぐれた講師にいろいろと教わりつつ、オリヴィアは有意義な時間を過ごしていた。

(まさかこの年になって、ちゃんとした教育を受けられるなんてありがたいわ。しかも無料で……!)

コルセットの苦痛も、アリスの存在も忘れてオリヴィアは勉強に夢中になっていた。
こんなにも幸せな時間があっていいのだろうか。
今までお金がないからと諦めていたオリヴィアだが、新しい知識を得られなら喜んで受けよう。

(一年後、離縁した時に少しでもお父様やお母様の力になりたい。このチャンスを逃してはダメよね……!)
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