札束でビンタから始まる怪力令嬢の勘違い契約結婚~お飾りの妻は最高です~
あっという間に時が過ぎてしまい、勉強の時間は終わってしまった。
アリスがいてくれることもあり、完璧な目標と、すぐに実践して習得できることも嬉しいではないか。
アリスはわかりやすいくらい不機嫌になっていく。
講師と楽しく談笑しつつ、次までにどこを学べばいいか教わっていた。
「オリヴィア様は覚えがいいですね」
「わたしはまだまだですから。アリス様も見本をみせていただきありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします」
「……ッ!」
それを聞いたアリスからギリッと歯を食いしばる音が漏れた。
しかし表情では平静を保っているのだから恐ろしい。
彼女は表に表情を出さないように徹底的に訓練しているのかもしれない。
授業が終わり、講師を送り出すと急にお腹が空いてくる。
(さっきパンとお菓子を食べ損ねたから……)
コルセットのおかげか、空腹感はなかったものの頭を使ったことでさらに糖分を欲しているような気がした。
(エリーにさっきの軽食を用意してもらわないと……!)
そう思ったオリヴィアが部屋に戻ろうとした時だ。
親しげに近寄るアリスが、オリヴィアを引き止めるように手を掴んだ。
手首は強く握られて、長く伸びた爪が食い込んでいた。
「わたくしオリヴィア様と仲良くなりたいの。このあと一緒にお茶でもいかがかしら?」
「えぇー……」
露骨に嫌そうな顔をすると、アリスの眉がぴくりと動いた。
額には青筋が浮かび、かなり苛立っていることがわかる。
どうやらこのまま部屋に帰してくれることはないようだ。
周囲を見るが、やはり誰もアリスに意見できるものはいないらしい。
となると、オリヴィアに残された道は一つだけだ。