札束でビンタから始まる怪力令嬢の勘違い契約結婚~お飾りの妻は最高です~
侍従が椅子に触れた。アリスの真似をしつつ、オリヴィアも席に着く。
椅子に座り、侍女が慣れた様子で紅茶を入れるのを釘付けになっていた。
もしかしたら今後に役に立つのではないかと思ったからだ。

紅茶の飲み方も彼女の真似をすれば、本物の令嬢になった気分でオリヴィアのテンションは上がっていた。
気まづい沈黙が流れているのにも気にすることなく、オリヴィアは花の香りのする紅茶の味に酔いしれていた。

(これが貴族の紅茶……! わたしは今、高級な紅茶を飲んでいるんだわ)

井戸から汲んだ水を煮沸して飲んでいたオリヴィアにとっては未知の味だ。
何回か紅茶自体は母の生家から送られてきたものを飲んだことはあるが、母の淹れ方が悪いのか苦味と渋味でいい思い出はない。
紅茶素人のオリヴィアですらわかる味の違い。
これは母に話したいと思いつつ、今度こそティースタンドに載せられている甘いお菓子を食べたいと考えていた。


「オリヴィア様、あなたがロベール様と結婚したって本当なのかしら」


アリスの問いかけが遠くに聞こえた。
オリヴィアは紅茶とお菓子に夢中だった。
彼女がお菓子に手をつけてくれなければ、作法もわからないため食べることができない。
アフタヌーン一番下から食べていくという知識はあるものの、アリスより先に食べていいのかまでわからなかった。
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