余所者-よそもの-【 3 】


ユキはきっと。

こうやって、ずっと私の傍を離れずに看病してくれていたんだと思う。

だって、僅かに残る断片的な記憶。

そのどれもが、どこか苦しそうな表情で私を見下ろす、彼の顔だったから。


そう思うと、右手の温もりが胸まで伝わってきて。

きゅうっと、私の心だって苦しくなる。


気がつけば、右手に少しだけ力が入っていた。

知らず知らずのうちに、ユキと自分の指の隙間が、少し埋まっている。



「どうした?」

「あ……ごめんなさい。何でもないです」

「手、痛む?」



ユキが、私の手首をそっと持ち上げた。

自然と、私たちの視線は右の手のひらへと揃った。


ジグザグに黒い糸の浮かんだ、ナイフの傷跡。

眠っている間に医者を呼んで縫合させたのだと、彼から聞かされていた。


「痛くないですよ」


ユキは、触れるか触れないかくらいの優しい指先で、そこをそっとなぞった。

その感触に、ピクリと私の手が跳ねる。


「くすぐったいです」


思わず、緩んだ口元。

それを見たユキも。


私の手のひらに自分の手を軽く重ねてから「そうか」と、釣られるように頬を緩めた。



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