余所者-よそもの-【 3 】

69話:奇妙な日常



地下の売人は一方的に話し続けた。


それはまるで、あの無言電話。

私と彼の立場を逆にしたようだった。


「大丈夫?」

「………」

「お腹空かない?」

「………」

「喉かわいた?」

「………」

「眠かったら眠っていいよ」

「………」

「話したくなったら、いつでも話して」


そんなことがしばらく続いて。


一向に何も答えない私に彼が「んー」と困った様子で唸る。

するとバタバタと足音を立てて、奥の部屋とこちらの部屋を行き来した。


「………」

やがて、ツンツン、と口端に冷たいものが当たった。

視線を向ければ、地下の売人がスプーンを使って、何かを私に食べさせようとしている。


「食べて」

「………」


私は少し考えてから顔を逸らした。


< 33 / 349 >

この作品をシェア

pagetop