余所者-よそもの-【 3 】
69話:奇妙な日常
地下の売人は一方的に話し続けた。
それはまるで、あの無言電話。
私と彼の立場を逆にしたようだった。
「大丈夫?」
「………」
「お腹空かない?」
「………」
「喉かわいた?」
「………」
「眠かったら眠っていいよ」
「………」
「話したくなったら、いつでも話して」
そんなことがしばらく続いて。
一向に何も答えない私に彼が「んー」と困った様子で唸る。
するとバタバタと足音を立てて、奥の部屋とこちらの部屋を行き来した。
「………」
やがて、ツンツン、と口端に冷たいものが当たった。
視線を向ければ、地下の売人がスプーンを使って、何かを私に食べさせようとしている。
「食べて」
「………」
私は少し考えてから顔を逸らした。