余所者-よそもの-【 3 】
AnBarの前に集まった、数十人の男たち。
リンコはあっという間に囲まれていた。
怒られたり、泣かれたり、からかわれたりしながら。
リンコは一人ひとりと、10年ぶりの言葉を一つ一つ丁寧に交わしていった。
そんな中だった。
突然、奥から割れ始めた、リンコを囲む人垣。
「退けェ。退けェ」
ざわめきを縫って、しゃがれた声がまっすぐに通る。
「――喝(カ)ッ!!!」
その一喝に。
とうとう人垣が真っ二つに割れた。
開いたその道を悠々と歩いてくる、ひとつの人影。
トトン、と杖を地面に叩く、老人。
――八賀だ。
「瑞生は」
手前にいたリンコが、軒先に立っているユキを指さした。
八賀は杖を突きながら、ズンズンと人の群れの隙間を歩く。
やがて、ユキの前に仁王立ちになった。