真夏の一夜は恋の始まり(新装版)
〜長内side〜

 「だから〜。私5年も付き合った彼氏に振られたんですよ。酷いと思いません⁇もうマンネリ化してるから別れようとか言われたんですよ⁇」

 私の5年間を返せー。
 
 叫んじゃってるし、みんなに聞こえてるし、完璧酔ってるし…。この子お酒飲むと饒舌になっちゃうタイプか…。凄い絡んでくるしお酒飲むとタチが悪い…。俺は正直ちょっと面倒に感じてしまった。

 「あーはいはい。それは酷いね。ていうかもう飲むのやめたら⁇」

 今日知り合った花凛という目の前にいる子から、お酒の入ったコップを取り上げる。

 「大丈夫です。私はシラフです。お替わり。」

 あーあーまだ飲もうとしてるし…。

 「そんなに後悔してるなら、別れたくないって言えば良かったのに。」

 まだこの子の事は何も知らないが、彼氏が好きだったであろうことが伝わってくる。とりあえず目の前のこの子について分かったことは、お酒を飲むと人格が変わって饒舌になり、つい最近彼氏に振られて傷心であろう事だけだ。
 俺の言葉に花凛はうえーんと声をあげ、目を潤ませて泣き始めてしまった。おいおい今度は泣くのかよ。

 「分かった、分かったから泣かないで。これじゃ俺が泣かせてるみたいだから。」

 あー面倒臭い。俺は正直女という存在が面倒臭い。男兄弟だけで育った俺はあまり女のいる世界で生きてきたことがない。

 地元の高校を卒業して大学に入り、大学で知り合った子に告白されて付き合う事になった。俺の初めての彼女だった。付き合うと言っても女の扱いなんか知らない俺はあっさり振られ、それからは彼女がいた記憶もない。
 別れ際彼女に、「長内くんといてもつまらない。長内くんには人を幸せにすることはできないと思う。」と結構ショックな事を言われたけど、当たっている気がして言い返せなかった。
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