真夏の一夜は恋の始まり(新装版)
 あっ。突き放しちゃった。嫌とかじゃないのに…。あの時もそうだ。私は嫌な訳じゃなかったのに、長内さんに酷いことを言って逃げてしまった。
 長内さんはそれでも、いつも助けてくれるのに…。

 「そうですよね。俺は嫌がられてますからね。新しい男の方がいいですよね⁇」

 ハァッ⁇嫌がられてるって何⁇それに新しい男⁇もう何のことだか分からない⁉︎

 「別に私は嫌がってませんし、新しい男って何のことですか⁇さっぱり意味が分からないんですけど⁇」

 長内さんの言っている意味がよく分からない。長内さんは明らかに誤解している。私に新しい男なんかいないのに⁈

 「そうですか。それならいいけど。同僚の先生達が噂してましたよ。園長の息子さんと結婚したら園長夫人だって。」

 え⁈園長の息子⁈園長夫人⁈何の事だかさっぱり分からない⁈

 「何を誤解してるか分かりませんけど、私は新しい男の人なんかいません。私が好きなのは…⁈」

 言いかけた時、パーっと言う車のクラクションの音がして、最後の言葉はかき消されてしまった。

 「まあ俺には関係ありませんけど。誤解とかされたくないなら、自分の言動には気をつけた方がいいですよ。あなたの言動で、勘違いする男は多いと思うので。」

 ズキっ。また胸が痛む。何でそんな言い方するんだろう⁇突き放すように言われてしまい、私はむっとしてしまった。

 「そんな事、長内さんには関係ないじゃないですか…。」
 
 これじゃ完全に売り言葉に買い言葉だ…。

 「そうですね。俺には関係ないですね。」

 結局そう言うと長内さんはそれからずっと不機嫌に黙ったままで、私達は一言も言葉を交わさなかった…。
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