追放先で再会した初恋の男は、罪深い私を愛し続ける 〜断罪令嬢エリザベートの初恋回帰〜
「俺、将来は文官になるぜ」
あの日、ベリルは将来を憂うエリザベートに対し励ますように言った。
大聖女としての成長が芳しくない妹の様子に父は懸念を示していたが、しかし相変わらず大聖女の親として権威を振りかざし、女遊びや贅沢の限りを尽くしていた。
このままでは父という害悪を一生抱えたまま、侯爵家を継がねばならないと思うと、あの頃のエリザベートはいつも胸が苦しくなっていた。
そんな時に、ベリルが申し出たのだ。
「平民でも実力があれば雇ってもらえるだろ?お前が不安なら俺を雇えよ」
まるで、ずっと傍に居ると言ってくれたような気がした。
真剣な眼差しが嬉しく頬が熱くなったのを覚えている。
しかし同時に悲しくて、逃げるように視線を逸らした。
「真面目に言ってんだよ。親父達も応援してくれるし。お前は危なっかしいだろ」
「私は……平気よ、大丈夫」
ベリルは賢い。
それに何よりやると言ったら本当に達成してしまう。
だから余計に苦しくなったのだ。
「いつも息苦しそうな顔してるくせに」
「気のせいよ」
「そーかよ」
少し不機嫌に、ぶっきらぼうに吐き捨てられたが、仕方がない。
あの時のエリザベートはそう言うしかなかった。
なぜなら侯爵家の長女として家督を継ぐため他家の貴族と結婚し迎え入れなければいけなかったからだ。
たとえそれを拒否して神殿に仕えると言っても、父は許してくれなかっただろう。
違う相手と結婚して、その傍にベリルが居るなどエリザベートは想像したくなかった。
まして、フランドール家に仕えるならば、ベリルが他の誰かと婚姻を結んだ場合、その現実を直視しなければならなくなる。
そのような未来が待っていると分かっていながら、「ありがとう」などとは安易に言えない。
「まぁいい。とにかく俺は文官を目指す!それも引くて数多の優秀な文官にな!人気すぎて給金弾まなきゃなんねぇってなっても知らねーよ」
焦ったく思ったのだろうか、ベリルは勝手に宣言してしまい、複雑な気持ちの笑みが落ちる。
好きな相手を傍に置き続けられるほどエリザベートの心は強くない。
どうせ結ばれないなら自分の知らないところで幸せになって欲しい。
それがベリルに対する想いだった。
「……それなら雇えなくなるかもしれないわね」
嬉しいけれど、苦しい。
今以上を望んでも叶うはずがないのに、ベリルと気持ちが通じていればいいと密かに願っていた自分がいた。
少し強引で、しかし心遣いがさりげなくて優しい人。
再会した彼にも似たものを感じるが、月日が流れベリルの心は読めなくなっている。
あの日、ベリルは将来を憂うエリザベートに対し励ますように言った。
大聖女としての成長が芳しくない妹の様子に父は懸念を示していたが、しかし相変わらず大聖女の親として権威を振りかざし、女遊びや贅沢の限りを尽くしていた。
このままでは父という害悪を一生抱えたまま、侯爵家を継がねばならないと思うと、あの頃のエリザベートはいつも胸が苦しくなっていた。
そんな時に、ベリルが申し出たのだ。
「平民でも実力があれば雇ってもらえるだろ?お前が不安なら俺を雇えよ」
まるで、ずっと傍に居ると言ってくれたような気がした。
真剣な眼差しが嬉しく頬が熱くなったのを覚えている。
しかし同時に悲しくて、逃げるように視線を逸らした。
「真面目に言ってんだよ。親父達も応援してくれるし。お前は危なっかしいだろ」
「私は……平気よ、大丈夫」
ベリルは賢い。
それに何よりやると言ったら本当に達成してしまう。
だから余計に苦しくなったのだ。
「いつも息苦しそうな顔してるくせに」
「気のせいよ」
「そーかよ」
少し不機嫌に、ぶっきらぼうに吐き捨てられたが、仕方がない。
あの時のエリザベートはそう言うしかなかった。
なぜなら侯爵家の長女として家督を継ぐため他家の貴族と結婚し迎え入れなければいけなかったからだ。
たとえそれを拒否して神殿に仕えると言っても、父は許してくれなかっただろう。
違う相手と結婚して、その傍にベリルが居るなどエリザベートは想像したくなかった。
まして、フランドール家に仕えるならば、ベリルが他の誰かと婚姻を結んだ場合、その現実を直視しなければならなくなる。
そのような未来が待っていると分かっていながら、「ありがとう」などとは安易に言えない。
「まぁいい。とにかく俺は文官を目指す!それも引くて数多の優秀な文官にな!人気すぎて給金弾まなきゃなんねぇってなっても知らねーよ」
焦ったく思ったのだろうか、ベリルは勝手に宣言してしまい、複雑な気持ちの笑みが落ちる。
好きな相手を傍に置き続けられるほどエリザベートの心は強くない。
どうせ結ばれないなら自分の知らないところで幸せになって欲しい。
それがベリルに対する想いだった。
「……それなら雇えなくなるかもしれないわね」
嬉しいけれど、苦しい。
今以上を望んでも叶うはずがないのに、ベリルと気持ちが通じていればいいと密かに願っていた自分がいた。
少し強引で、しかし心遣いがさりげなくて優しい人。
再会した彼にも似たものを感じるが、月日が流れベリルの心は読めなくなっている。