追放先で再会した初恋の男は、罪深い私を愛し続ける 〜断罪令嬢エリザベートの初恋回帰〜
「……どーしたの?」

思わず声に出して笑っていたのをロマに問われエリザベートは目を細めた。

「あなた達二人がいて、ベリルは幸せだと思って」

彼らは腹の内を探り合うような関係でなく、素直な言葉が口にできる相手なのだ。
軽口も互いに信用していなければあんな風には出来ない。

彼らがエリザベートの元を訪れるたびに、彼らの明るい雰囲気に安堵させられる。
少なくとも今、ベリルは辛い思いをしていないのだと証明されているような気がするからだ。

それから外に出て、四人で落ち葉を集め細かくちぎり始めた。

ベリルの話によると、ディート地区はもともと結界の末端かつ瘴気の濃度が高い瘴気溜まりと呼ばれる渓谷に近い場所で、もともとこの土地はやせ細っていたらしい。

しかしヒストリアらによる浄化によって瘴気溜まりは消滅し、土地は蘇り緑が芽吹いている。
今やこの土地の土壌は潤い、作物の栽培に適している。

平屋の周りも同様で、正しく整備すれば自給自足のための畑ぐらいは出来るだろう。
二人が遠くの木に走ってゆくのを眺めていると、ふと隣でベリルが言った。

「――こういう時間がずっと欲しかった」

エリザベートは瞳を大きく瞬いたまま、言葉を飲み込むのに数秒かかった。

無意識に視線を逸らしたまま、しかしエリザベートもまた穏やか時間を噛み締めそれから瞼を閉じた。

賑やかな子どもの声に、隣にはベリルがいる。
身に余る幸せ、というのはこういう時に使う言葉なのだろう。

こんな現実があって良いのだろうか。

そこにふと足音が聞こえてロマとティアがエリザベート達に向かって呼びかけた。

「ねぇ、ミミズがいたよー!」
「僕はね、ダンゴムシ見つけた!」

駆け寄ってきた二人にベリルは立ち上がり、手のひらの中にいるのであろう二人が見つけてきた虫を見ていた。

どうやら落ち葉集めから虫集めに変わっていたらしい。

それからエリザベートは二人を呼び寄せ顔の汚れを拭ってやると、指で梳いて丁寧に髪を溶かす。

土埃を落としてもらいながら二人は「お母さんみたい」と笑った。

――この時間が長く続けばいいのに。
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