追放先で再会した初恋の男は、罪深い私を愛し続ける 〜断罪令嬢エリザベートの初恋回帰〜
おかしいのはテオの方だ。
流暢に口が回るテオはエリザベートの無罪を信じているらしい。

いや、信じているというよりも思い込んでいるといった方が適切なのかもしれないが。

エリザベートは呼吸を整え、眉根を寄せる。

「いいえ。私の罪は事実です」

自分で思ったよりも冷静な声が出ていた。

「父からヒストリアを取り上げることも、そして聖女の頂に相応しくない者を引き摺り下ろすことも私の悲願だったのです。無実を証明するためにこのような事をされたのであればおやめ下さい……私は罪人です」

テオが純粋な善意から行動しているとは思えなかったが、真実は直接知らせるべきだろう。
それで少しでも冷静になってくれたなら幸いだ。

しかし一抹の期待も虚しく、テオの手が伸びてきてエリザベートの顔を包み込む。

「そうか……ならば尚更私といるべきだよ」

愛しむように肌を撫でられテオの影が落ちる。

「フランドール家は力の強い聖女が多く生まれていたからね、僕らの子も期待出来る。君の体質さえ継がなければ完璧だ」

テオは穏やかに微笑む。

「王太子殿下は、聖女制度が変わると仰っていた。今後普及される浄化石の生成には、今までのような中途半端な聖女を集める必要はない。力のある聖女が国益となるのだから……今のうちに仕込んでおけば、我が家は安泰だ」

不気味なことを口にされ、エリザベートは瞳を揺らし唇を噛み締めた。

テオは半分間違っている。
結界を張るための浄化石は半永久的なものになると発表された。

それを作れるのは確かに力の強い聖女である必要があるが、しかし一度作ってしまえば今までのように時間をかけて聖力を注ぐような事はしなくていい。

テオはエリザベートを手に入れることが利益になると考えているのだろうが、それは本人が想像しているよりもずっと実入は少ないはずだ。

これからは神殿に聖女が囲われた時代とは異なり、世界に蔓延る瘴気との関わり方も変わってゆくだろう。
聖女に固執しない未来を掴むため、動き続ける者達が世界を変えてゆくのだから。


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