追放先で再会した初恋の男は、罪深い私を愛し続ける 〜断罪令嬢エリザベートの初恋回帰〜

新しい住処

エリザベートの追放処分には二つの条約が存在する。

一つ、追放後の三年間はディート地区から出てはならない。
二つ、辺境伯からの要請があった際は聖女として応じること。

妹は大聖女だったが、エリザベートもまた聖女であった。

その力は妹を凌ぐほどで、聖力を生み出すだけならばエリザベートの右に出る者はいない。

それだけを切り取ればきっと大聖女の印はエリザベートに顕現していただろう。

しかしエリザベートには致命的な欠陥があった。

母親から受け継いだ体質なのか聖力を貯めることが出来なかったのだ。

妹に”聖印”と呼ばれる大聖女の印が現れた日に、エリザベートを取り巻く世界は大きく揺れた。

妹は自分の手から離れ、悪辣な父を心から慕うようになり、エリザベートは一人になった。

そんななか出会ったベリルの一家は心の拠り所だった。

しかし無情にも唯一ともいえる彼らさえエリザベートの手から溢れていった。

もう二度と手に入らない温もりに絶望した日を今も鮮明に覚えている。

判決を聞き、涙が止まらず何度も傍聴席で謝った。
その隣で妹から向けられる冷たい視線。

まるで忌まわしいものを見るような視線ものだった。

「わざわざ王都までやってきて、無様な平民だ……よく見ておくがいい、あれが家畜だ」

父は、引き裂かれる家族に対し満足気に言った。

あの銃撃事件の判決はある種の見せしめ。

どんな理不尽も受け入れなければこの家族のようになるのだと、フランドール家の意思として広く伝わったことだろう。

あの時の謝罪はベリルに届いていたのだろうか。

< 6 / 34 >

この作品をシェア

pagetop