〝選ばれるはず〟だった令嬢がいるのに、彼は私と契約結婚する


「俺の記憶が正しければ、小宮山さんお酒飲めなかったと思うんだけど、飲めるようになった?」

 脇に置いてあったドリンクメニューを手に取った白河先輩は、私に視線を向け微笑む。

 まさか、そんな昔の情報を記憶してくれているとは驚き、つい目が大きくなってしまう。

 白河先輩とお酒の場に行ったことなんて、サークル活動の範囲で片手で足りるほどの回数しかない。

 それに、必ずと言っていいほど十人以上の団体での席だ。

 飲み会の席で飲まないほうが浮いてしまいがちだし、白河先輩の記憶力が長けているのだろう。

「いえ、克服はできていません。どちらかというと、アレルギーなのかと思います」

 成人してから初めて飲酒をしたとき、量も度数も大したものを飲んでいないのに顔が真っ赤になった。喉の詰まり感も感じ、重症ではないもののアルコールにアレルギーがあるのだと察知した。

 採血や注射の際に腕をアルコール綿で拭うと、皮膚が赤くなることが多い。

 その日の体調にもよるかもしれないけれど、自分の体はあまりアルコールを受け付けないのだと知ってから飲酒の席でもソフトドリンクしか飲まないようにしている。

「そっか。じゃあ、スパークリングウォーターでいい? 炭酸は大丈夫?」

「はい、大丈夫です」

 白河先輩も車だと言っていたから飲まないのだろう。

 先ほどのスタッフがすぐに戻ってきて、ドリンクのオーダーを取っていく。程なくして、運ばれてきた背の高いグラスにスパークリングウォーターが注がれていく。

 続いて見計らったようなタイミングで「失礼いたします」とプレートを手にしたスタッフが部屋を訪れた。

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