〝選ばれるはず〟だった令嬢がいるのに、彼は私と契約結婚する
約束通り、悠真さんが父に挨拶をしに来て一週間もしないうち、父の元に悠真さんの顧問弁護士がやってきた。
悠真さんから全て言付けられていたらしく、負債を含め心配事も親身になって聞き対処してくれたという。
一番気がかりだった件がきっちりと解決し、父から話を聞いて私自身ほっとした。
「今朝、父から連絡がありまして。昨日、弁護士の方が来てくださったと聞きました」
昼休み。
お礼を伝えたく、悠真さんに電話をかけた。悠真さんもちょうど休憩を取っていたらしく、数回のコールで通話が繋がった。
「ありがとうございました。何から何まで気にかけていただいたと聞いています」
《そうか。まだ弁護士から直接は聞いていないけど、それならよかった》
「これで、父も安心して診療ができるはずです。約束を守っていただき、本当にありがとうございました」
《莉桜のお父様は、俺にとってももうお義父さんだ。今後もなにかあれば助けたい》
「はい。そう言ってもらえると心強いです」
電話の向こうで《そうだ》と、悠真さんはなにか思いついたような声を出す。
《この間予定を訊いた両親に会ってもらう日、調整ができたから次の週末にしたい》
父に挨拶に来てくれた日、悠真さんからご両親と顔合わせをする日程を訊かれた。
都合のつく日をピックアップして返信したけれど、ご両親の都合と合う日があったようだ。
「次の週末、わかりました。お会いできるのを楽しみにしています」
《ああ、両親も同じように言ってた。莉桜に会うのが楽しみだって》
そうは言ってもらっても、本当に自分で大丈夫なのかという不安は募るばかり。
悠真さんには、婚約者は私でご両親は納得するのかと一度訊いてみている。
ご両親が求む相手がいたり、白河家に相応しい女性がいるのだと思ったからだ。
急にぽっと現れた私と結婚するなどと報告して許されるのか。その心配しかない。
でも、悠真さんはなにも問題ないと即答だった。
あまりしつこく同じことを訊くのも申し訳ないからその話題はもう出してないけれど、いざ紹介してもらう日取りが決まるとまた心配になってくる。
とにかく粗相だけはないようにしようと決め、不安を鎮まらせた。