〝選ばれるはず〟だった令嬢がいるのに、彼は私と契約結婚する
「悠真くんは真面目に女性とふたりで会わないなんて言ってるのに、奥様のほうはどうなのかしら? 悠真くんのこと、裏切ってると思うけど」
「これはいつ、どこで撮影したものだ」
「え、詳しい日時は聞いてないわ。でも、週刊誌のスクープ写真とかも撮ってるカメラマンだから腕は確かよ。知り合いなの」
どうして莉桜を撮るように依頼したのかと訊こうとしてやめる。
悔しいが、一瞬どきりとしたのは確かだ。そのくらい莉桜に見えるが、これは莉桜ではない別人。それらしい写真を偽造して持ってきたのだと見破る。
しかし、この場で美玲を責めることはしない。
どうして嘘だとバレるリスクを背負ってでも、こんなことをする必要があるのか。
莉桜を貶めようとする行動に不審を抱く。
「そうか。これはもらってもいいか」
「ええ、もちろん。不貞の証拠になるものね」
美玲はホッとしたように微笑む。手にしていた封筒も差し出した。
「これからオペなんだ」
「うん、頑張って!」
上機嫌で手を振る美玲に背を向け、振り返らずその場を足早に立ち去った。