〝選ばれるはず〟だった令嬢がいるのに、彼は私と契約結婚する
その後、実家を出てからすぐ、西園寺医療機工株式会社のフリーダイヤルに問い合わせをした。
名前と、今回の件で担当者と話がしたいと伝えると、すぐに折り返しで美玲さんの秘書だという男性から連絡が入った。
初めから、向こうも私と話すのが目的だったのかもしれない。
後日、ふたりきりで話がしたいと伝言を受け、秘書を介して会う約束をした。
やはり、彼女が手を回したことだったのかと腑に落ちながらも、どうしてこんな酷いことをするのかと怒りがこみ上げる。
一体、なにが目的なのか。小汚い手を使ってまで父の医院を買収することに、彼女にどんなメリットがあるというのだろう。
悠真さんが支援をしたから? それが気に食わず、父の医院を買い上げるようなことをしたのか……。
とにかく、直接会って話をする他ない。
美玲さんの秘書から指定されたのは、都内の某ラグジュアリーホテル。
約束の時間、十五時前にホテルフロントを尋ねると、直接七〇三号室へ行くように言われた。
指定された客室に向かうと、部屋の中から現れたのはスーツの男性。
「お待ちしておりました」と迎え入れた彼は、電話応対としてくれた秘書の男性のようだ。
部屋の中に案内されていくと、部屋の奥、広い窓の前に美玲さんがひとり立っていた。
「小宮山様がお見えです」
窓の外を眺めていた美玲さんは、秘書から私が到着したと聞き体ごとこちらに振り返った。