結婚してもおひとり様を貫きますから~俺様御曹司は孤独な契約妻に愛されたい~
「広告宣伝の担当者らは、もう大わらわだ。ほかの事務所にもあたり始めているようだが、取り合ってもらえないらしい」

「どういうこと?」

 ほかの事務所まで?
 なにが起こっているのかわからないが、嫌な予感に手が汗ばんでくる。

「おそらく、ネクストアーツプロダクションが裏で手を回しているんじゃないか。俺もよく知らないけど、ああいう業界は大手の事務所に睨まれたら干されるって言うだろ?」

「だからって……」

「でも、現実そうなっている」

 スパッと言いきられて、言葉に詰まる。

 もしかして、私が冬馬さんの妻でいることが原因かもしれいってこと?
 笹島さんが、事務所の社長である父親になにか言っているのかもしれない。

「言いづらいんだけどさあ、社長のせいじゃないかって」

「どうして? 冬馬さんはなにもしていないじゃない」

 冬馬さんのことを引き出されて、反射的に言い返してしまう。

「落ち着けって」

 思わず腰を浮かしかけた私を、岡本君がなだめる。

「これは俺の考えじゃないからな。とにかく現場の人間は、社長の不誠実な振る舞いで婚約破棄になったことが原因じゃないかと言ってる。ネクストアーツプロダクションの社長が、さすがに腹に据えかねているのでは、ってな」

「どうして今になって……。冬馬さんは、浮気をするような人じゃないわ。だって、休日も仕事をしているくらい忙しくて」

「それは青山から見た社長だ。言っておくが、俺はどちらの肩を持つつもりはないからな。たとえばの話、休日の外出が仕事のためだと、出勤から帰宅まで瑞希はすべてを見ていたわけじゃないだろ?」

「そうだけど……」

 疑い出したらキリない。
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