結婚してもおひとり様を貫きますから~俺様御曹司は孤独な契約妻に愛されたい~
 ここで、いくら私が自他ともに厳しい冬馬さんの様子を語ったところで、疑惑を完全には晴らせないことはわかっている。それに私は冬馬さんを信じているけれど、真実を知っているわけじゃない。

「とにかく、この件で現場の空気は最悪だ。あの商品以外についても、今後どうなるか見通せない状況にある。最悪、社長の進退について声をあげる人も出てくるかもしれない」

「そんな……」

 CMタレントを起用できないなんて、前代未聞のトラブルだ。冬馬さんの責任問題に発展するのも仕方がない。

 けれど、彼が退けば笹島さんは満足してくれるの?
 昨日の彼女の様子から察するに、そうじゃないはず。私が彼と離婚して、代わりに自分が再婚するところまで実現できなければ、父親を巻き込んだ強硬な態度は軟化されないのではないか。

 胸の奥がズシリと重くなる。

 岡本君と別れて秘書課に戻るまでの間、そこかしこから視線を感じたのは気のせいだろうか。

 冬馬さんが不在の中。私がおどおどしていては周囲の印象がさらに悪くなるかもしれない。だから、じわじわと増す恐怖心を隠して堂々と過ごしていた。





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