結婚してもおひとり様を貫きますから~俺様御曹司は孤独な契約妻に愛されたい~
 おそらく、冬馬さんにとってパーティーは進藤ホールディングスの後継者として顔を見せる場になるのだろう。私の振る舞いもまた、彼の評価につながる。そこで侮られるようではいけない。

「俺たちは結婚のお披露目もしていないから、あいさつ回りに忙しくなるだろう」

「お披露目……それは、難しいですよね」

 冬馬さんの視線が、わずかに鋭さを増した気がする。

 私たちの結婚は契約にすぎず、離婚をする前提の関係だ。彼の悪評を払拭するために、結婚していることを知らしめる必要があった。

 けれど対外的に大きく発表してしまえば、離婚後の冬馬さんに負の影響を与えかねない。
 独身を貫くつもりだった私は、バツイチになったところでそれほどの痛手はないからかまわない。
 でもグループのトップに立つ冬馬さんは、私とは事情が違う。離婚など昨今は珍しくないとはいえ、スキャンダルには違いないのだから。

 マイナスの要素は、よい話よりも早く広く浸透していくのはいつものこと。それが、彼の立場をも脅かしかねない。副社長のように、彼はふさわしくないと言う人が出てくることも考えられる。まして、会社の前で女性に迫られていたなんて噂もあったくらいだ。離婚の原因は彼にあるのではという、憶測が飛び交うことも想像に容易い。

 冬馬さんは、悪評など仕事で成果を残せば払拭できると言いきっていた人だ。離婚後に起こるだろう自体はある程度想像できていて、それに対処する自信があるのかもしれない。そうだとしても、私たちの結婚を必要以上に知らせることには躊躇してしまう。
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