結婚してもおひとり様を貫きますから~俺様御曹司は孤独な契約妻に愛されたい~
 もともと私は、他人の感想を読んだり、ネット上でやりとりしたりする時間を楽しく感じていた。共感してもらえればうれしいし、新しい気づきがあれば確認のためにもう一度見たいと思う。

 今は、その相手が目の前の冬馬さんに代わったというだけ。はたして彼がこの時間を楽しんでいるかはわからないが、私が話をするときちんと返してくれるから会話が続く。

「あの俳優さんを起用したのは、当たりだと思います。セリフがない場面も、空気感だけで伝えられていたというか」

「そうだな。気づいたか? カメラが瞳をアップにしたとき、いろいろと写り込んでいたぞ」

「え! それは知らなかったです」

 もっと注意して見ていればよかったと、気づけなかったことが悔しい。
 そんな感情が顔に出ていたのだろう。

「それなら、来週もう一度見に行くか?」

 同じ映画でも、おもしろければ何度でも見られる人がいる。私はそちら側の人間だけど、冬馬さんがそうだとは、どうにも思えない。この人はとことん無駄を嫌い、どんなことでも最善で最短を選び取っていそうだ。

 退屈させるんじゃないか。そう思って遠慮がちに彼をうかがうと、なにかを言う前に「かまわない」と返ってきた。

「じゃ、じゃあ」

 図らずも、こうして来週の予定が決まっていた。



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