結婚してもおひとり様を貫きますから~俺様御曹司は孤独な契約妻に愛されたい~
 それからしばらくして、瑞希を伴ってパーティーに参加する機会が訪れた。
 今回は秘書としてではなく、妻として彼女を連れていく。結婚後に初めて参加する公の場となるが、以前の俺なら面倒だと苛立っていたはずだ。

 だが今は、それほど悪くないと感じている。

 瑞希が一番美しく見えるように、周囲から侮られないようにと、衣装はこちらで用意した。
 女性へのプレゼントを選ぶなど、いつぶりだろうか。これまでは相手の気持ちなど知ろうともせず、これを渡しておけばおとなしくしてくれるだろうと、今思えば失礼なことを考えていた。

 瑞希を喜ばせたくて、彼女に似合うものを自ら探す。その時間を無駄だとは思わなかったどころか、妻をいかに着飾らせるか楽しんでいる自分がいた。

 彼女がいてくれるおかげで、煩わしい縁談話はなくなった。社内の噂もほとぼりが冷めている。このまま瑞希が俺の隣にいてくれたら、快適な生活さらに長く続くだろう。

 瑞希を手放せない。

 そう望むのは、もはや打算からだけではなくなりつつある。

 俺が贈ったドレスを身に纏った美しい妻を前にして、ドキリとさせられる。そうして参加したパーディーで、今度は彼女の弱い一面を見せられた。

 慣れないことに疲労も大きかったのだろう。それほど多くない量のアルコールで酔ってしまった瑞希。

「結婚したって、いいことばかりじゃないのに」

 世の女性の心理が本当に理解できない、という雰囲気で瑞希が言う。しかし酔いが回るにつれて、それだけでなくなっていく。心細いのか、握りしめた彼女の手が震えていた。

 彼女の育った家庭環境はだいたい把握している。

 子どもにとって一番長い時間過ごす家庭が、安心できるものではなかった。幼少期の瑞希は、どれほど不安な日々を過ごしてきたのだろうか。
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