両思いだけど、片想い?
ピンク色に染まる日常
ベッドに押し倒されたるるの視界は、一瞬で俊太の大きな体によって塞がれた。
窓の外で激しく打ちつける雨の音が、まるで二人の鼓動の秒針のように部屋に響いている。
「し、俊太……?」
るるの手首を掴む俊太の指先は、骨が軋むのではないかと思うほどに強かった。
いつも優しく触れてくれていた「お利口さん」の俊太は、もうどこにもいない。
俊太の瞳は、まるで獲物を追い詰めた肉食動物のように鋭く、暗い熱を帯びてギラギラと光っていた。
「したくないわけ、ないだろ」
俊太の声は低く、かすかに掠れていた。その声の響きだけで、るるの背筋にゾクゾクとした震えが走る。
「毎日、お前が他の男と話してるだけで、その男を殴り倒して、お前を誰も見ない場所に閉じ込めたいと思ってた。るる、お前が『可愛い』って笑うたびに、俺の頭の中でどれだけ汚い妄想が渦巻いてたか……教えてやろうか?」
「あ……っ」
俊太の顔がじりじりと近づく。彼の吐き出す熱い息が、るるの唇や首筋に触れて肌を焦がしていく。
「お前がピュアすぎるから、壊さないように、嫌われないように、死ぬ気で我慢してたんだ。なのに……お前の方から『その先』なんて言うなんてさ。……もう、絶対に止めないからな。後悔したって、泣いたって、絶対に逃がしてやらない」
その言葉は、優しさとは程遠い、凶暴なほどの独占欲に満ちていた。だけど、るるの胸を満たしたのは恐怖ではなく、3年間渇き続けた心が完全に満たされていくような、強烈な歓喜だった。
「ん……っ!?」
言葉を紡ぐ隙さえ与えられないまま、俊太の唇が塞いできた。
コテージの暗闇での「あと1センチ」なんて生易しいものではない。3年分の我慢をすべて爆発させたような、深く、激しいキス。
「んむ……、ちゅ、しゅん……た……っ」
息ができないほどの熱量で貪られ、るるの頭の中は一瞬で真っ白になった。
俊太の大きな手が、るるの細い腰をガシッと掴み、自分の体へと強く引き寄せる。
いつもなら空いていた「拳3個分」の距離は完全に消滅し、お互いの体温が、皮膚を通してドロドロに溶け合っていく。
俊太の唇がゆっくりと離れた時、二人の間に細い銀の糸が引いた。るるは完全に息を乱し、涙目で俊太を見上げる。
「はぁ、はぁ……っ、俊太、くるし……」
「苦しい? それ、俺のセリフ」
俊太は狂おしげに顔を歪めると、今度はるるのむき出しになった鎖骨へと、深く鋭く、噛みつくように唇を押し当てた。
「あうっ……!」
「お前がこんなに可愛い格好して、無防備に俺を煽るからだろ……。るる、お前の全部を俺の色に染めたい。お前の頭の中を、俺のことでいっぱいにしたい……っ」
俊太の手が、るるのTシャツの裾から、熱い手のひらを滑り込ませていく。
その手のひらが触れるたび、るるの体はビクッと跳ね上がり、甘い悲鳴が部屋に消えていった。
部屋の明かりはいつの間にか消され、窓から差し込む薄暗い街灯の光だけが、ベッドの上の二人を照らしていた。
雨の音はますます激しくなり、世界に二人きりしかいないような錯覚を覚えさせる。
「ねえ、るる……。本当に、俺の『お利口さんじゃないところ』、見たいって言ったよね?」
俊太はるるの両手を頭の上で片手で固定し、完全に身動きを封じた。彼の重み、彼の匂い、彼の熱。すべてに支配され、るるの心臓は破裂しそうなほどに暴れている。
「うん……っ、見せて、俊太の……全部……」
るるが震える声でそう答えた瞬間、俊太の瞳の奥の境界線が、完全に崩壊した。
「……バカ。そんな顔されたら、本当に加減なんてできない……」
俊太の言葉を最後に、二人の間に流れる空気は、言葉を必要としない濃密な「熱」へと変わっていった。
肌と肌が直接触れ合い、お互いの境界線が曖昧になっていく。俊太の愛は、るるの想像を遥かに超えて重く、深く、そして独占的だった。彼が触れるすべての場所が熱く疼き、るるはただ、俊太という大きな嵐に身を委ねるしかなかった。
カーテンが揺れ、雨の匂いが部屋を満たす中、二人は3年間の空白を埋めるように、何度も、何度も、深く深く結びついていった。
翌朝。激しかった雨は上がり、カーテンの隙間から柔らかな朝光が部屋に差し込んでいた。
るるがゆっくりと目を覚ますと、すぐ目の前に俊太の寝顔があった。
いつも通りの綺麗な顔。だけど、その腕はるるの腰を、まるで「絶対に離さない」とでも言うように、寝ている間もぎゅっと強く抱きしめていた。
(……幻覚じゃ、ないよね)
自分の体の中に残る、心地よい気だるさと、昨夜の俊太の「獣」のような姿を思い出し、るるの顔が途端に真っ赤になる。
そっと俊太の腕から抜け出そうと身をよじった瞬間、腰に回された腕にぐっと力がこもった。
「……どこ行くの」
俊太が薄目を開けて、低いくぐもった声で囁いた。その瞳には、すでに昨夜の「男の熱」がうっすらと宿っている。
「あ、あの、朝ご飯、作ろうかなって……」
「いらない。それより、もっとこっち来て」
俊太はるるを自分の胸元へと力任せに引き戻すと、おでこや鼻先、そして唇に、何度も細かくキスを落とした。
「俊太、くすぐったい……っ」
「お利口さんの仮面、捨ててきちゃったから。これからは毎日、こうやってるるを困らせるから覚悟して」
そう言って、俊太は意地悪そうに、だけど底なしの愛おしさを込めて、るるの唇を再び深く奪ったのだった。
それから数日後。大学の近くのカフェ。
「……いや、お前ら、何があった?」
目の前で、呆れ果てた顔をしてアイスコーヒーを啜っているのは、お馴染みの航平だ。
それもそのはず、今のるると俊太の距離は「拳3個分」どころか、完全に「マイナス」だった。
カフェの狭いベンチシートで、俊太はるるの腰にしっかりと手を回し、ぴったりと密着しているのだ。
「何って……普通に、仲良くしてるだけだけど?」
俊太は爽やかな笑顔のまま、るるのカップにミルクを入れてあげている。しかし、その目はどこか「るるは俺のものだ」と航平を牽制するような、冷たい光を放っていた。
「普通じゃねぇだろ! お前、完全に『重い彼氏』に覚醒してんじゃねぇか! るるもるるで、なんでそんな嬉しそうな顔してんだよ!」
「えへへ……」
るるは照れくさそうに笑った。
かつて、付き合いたての頃に妄想していた「世界がピンク色に染まる日常」は、確かに訪れなかった。
だけど、今の日常は、ピンク色なんて生易しいものじゃない。
俊太の、少し危険で、圧倒的に重くて、情熱的な「彼の色」に、るるの毎日は深く、濃く、塗り替えられてしまったのだ。
「もう、どこにも行かせないからね、るる」
耳元で小さく囁かれた俊太の言葉に、るるは深く頷きながら、彼の大きな手を、今度は自分からぎゅっと握り返した。
「私もずっと、俊太の隣に居させてね?」
「可愛すぎるだろ! 俺の彼女!」
「だから、お前らどうした? マジでどうした? わけわからん!!」
これからも、ふたりの恋は続くのであった。
窓の外で激しく打ちつける雨の音が、まるで二人の鼓動の秒針のように部屋に響いている。
「し、俊太……?」
るるの手首を掴む俊太の指先は、骨が軋むのではないかと思うほどに強かった。
いつも優しく触れてくれていた「お利口さん」の俊太は、もうどこにもいない。
俊太の瞳は、まるで獲物を追い詰めた肉食動物のように鋭く、暗い熱を帯びてギラギラと光っていた。
「したくないわけ、ないだろ」
俊太の声は低く、かすかに掠れていた。その声の響きだけで、るるの背筋にゾクゾクとした震えが走る。
「毎日、お前が他の男と話してるだけで、その男を殴り倒して、お前を誰も見ない場所に閉じ込めたいと思ってた。るる、お前が『可愛い』って笑うたびに、俺の頭の中でどれだけ汚い妄想が渦巻いてたか……教えてやろうか?」
「あ……っ」
俊太の顔がじりじりと近づく。彼の吐き出す熱い息が、るるの唇や首筋に触れて肌を焦がしていく。
「お前がピュアすぎるから、壊さないように、嫌われないように、死ぬ気で我慢してたんだ。なのに……お前の方から『その先』なんて言うなんてさ。……もう、絶対に止めないからな。後悔したって、泣いたって、絶対に逃がしてやらない」
その言葉は、優しさとは程遠い、凶暴なほどの独占欲に満ちていた。だけど、るるの胸を満たしたのは恐怖ではなく、3年間渇き続けた心が完全に満たされていくような、強烈な歓喜だった。
「ん……っ!?」
言葉を紡ぐ隙さえ与えられないまま、俊太の唇が塞いできた。
コテージの暗闇での「あと1センチ」なんて生易しいものではない。3年分の我慢をすべて爆発させたような、深く、激しいキス。
「んむ……、ちゅ、しゅん……た……っ」
息ができないほどの熱量で貪られ、るるの頭の中は一瞬で真っ白になった。
俊太の大きな手が、るるの細い腰をガシッと掴み、自分の体へと強く引き寄せる。
いつもなら空いていた「拳3個分」の距離は完全に消滅し、お互いの体温が、皮膚を通してドロドロに溶け合っていく。
俊太の唇がゆっくりと離れた時、二人の間に細い銀の糸が引いた。るるは完全に息を乱し、涙目で俊太を見上げる。
「はぁ、はぁ……っ、俊太、くるし……」
「苦しい? それ、俺のセリフ」
俊太は狂おしげに顔を歪めると、今度はるるのむき出しになった鎖骨へと、深く鋭く、噛みつくように唇を押し当てた。
「あうっ……!」
「お前がこんなに可愛い格好して、無防備に俺を煽るからだろ……。るる、お前の全部を俺の色に染めたい。お前の頭の中を、俺のことでいっぱいにしたい……っ」
俊太の手が、るるのTシャツの裾から、熱い手のひらを滑り込ませていく。
その手のひらが触れるたび、るるの体はビクッと跳ね上がり、甘い悲鳴が部屋に消えていった。
部屋の明かりはいつの間にか消され、窓から差し込む薄暗い街灯の光だけが、ベッドの上の二人を照らしていた。
雨の音はますます激しくなり、世界に二人きりしかいないような錯覚を覚えさせる。
「ねえ、るる……。本当に、俺の『お利口さんじゃないところ』、見たいって言ったよね?」
俊太はるるの両手を頭の上で片手で固定し、完全に身動きを封じた。彼の重み、彼の匂い、彼の熱。すべてに支配され、るるの心臓は破裂しそうなほどに暴れている。
「うん……っ、見せて、俊太の……全部……」
るるが震える声でそう答えた瞬間、俊太の瞳の奥の境界線が、完全に崩壊した。
「……バカ。そんな顔されたら、本当に加減なんてできない……」
俊太の言葉を最後に、二人の間に流れる空気は、言葉を必要としない濃密な「熱」へと変わっていった。
肌と肌が直接触れ合い、お互いの境界線が曖昧になっていく。俊太の愛は、るるの想像を遥かに超えて重く、深く、そして独占的だった。彼が触れるすべての場所が熱く疼き、るるはただ、俊太という大きな嵐に身を委ねるしかなかった。
カーテンが揺れ、雨の匂いが部屋を満たす中、二人は3年間の空白を埋めるように、何度も、何度も、深く深く結びついていった。
翌朝。激しかった雨は上がり、カーテンの隙間から柔らかな朝光が部屋に差し込んでいた。
るるがゆっくりと目を覚ますと、すぐ目の前に俊太の寝顔があった。
いつも通りの綺麗な顔。だけど、その腕はるるの腰を、まるで「絶対に離さない」とでも言うように、寝ている間もぎゅっと強く抱きしめていた。
(……幻覚じゃ、ないよね)
自分の体の中に残る、心地よい気だるさと、昨夜の俊太の「獣」のような姿を思い出し、るるの顔が途端に真っ赤になる。
そっと俊太の腕から抜け出そうと身をよじった瞬間、腰に回された腕にぐっと力がこもった。
「……どこ行くの」
俊太が薄目を開けて、低いくぐもった声で囁いた。その瞳には、すでに昨夜の「男の熱」がうっすらと宿っている。
「あ、あの、朝ご飯、作ろうかなって……」
「いらない。それより、もっとこっち来て」
俊太はるるを自分の胸元へと力任せに引き戻すと、おでこや鼻先、そして唇に、何度も細かくキスを落とした。
「俊太、くすぐったい……っ」
「お利口さんの仮面、捨ててきちゃったから。これからは毎日、こうやってるるを困らせるから覚悟して」
そう言って、俊太は意地悪そうに、だけど底なしの愛おしさを込めて、るるの唇を再び深く奪ったのだった。
それから数日後。大学の近くのカフェ。
「……いや、お前ら、何があった?」
目の前で、呆れ果てた顔をしてアイスコーヒーを啜っているのは、お馴染みの航平だ。
それもそのはず、今のるると俊太の距離は「拳3個分」どころか、完全に「マイナス」だった。
カフェの狭いベンチシートで、俊太はるるの腰にしっかりと手を回し、ぴったりと密着しているのだ。
「何って……普通に、仲良くしてるだけだけど?」
俊太は爽やかな笑顔のまま、るるのカップにミルクを入れてあげている。しかし、その目はどこか「るるは俺のものだ」と航平を牽制するような、冷たい光を放っていた。
「普通じゃねぇだろ! お前、完全に『重い彼氏』に覚醒してんじゃねぇか! るるもるるで、なんでそんな嬉しそうな顔してんだよ!」
「えへへ……」
るるは照れくさそうに笑った。
かつて、付き合いたての頃に妄想していた「世界がピンク色に染まる日常」は、確かに訪れなかった。
だけど、今の日常は、ピンク色なんて生易しいものじゃない。
俊太の、少し危険で、圧倒的に重くて、情熱的な「彼の色」に、るるの毎日は深く、濃く、塗り替えられてしまったのだ。
「もう、どこにも行かせないからね、るる」
耳元で小さく囁かれた俊太の言葉に、るるは深く頷きながら、彼の大きな手を、今度は自分からぎゅっと握り返した。
「私もずっと、俊太の隣に居させてね?」
「可愛すぎるだろ! 俺の彼女!」
「だから、お前らどうした? マジでどうした? わけわからん!!」
これからも、ふたりの恋は続くのであった。