悪魔は夜に笑う
赤嶺くんは肩を回してストレッチをしながらカウンターに入ってきた。
ベストも蝶ネクタイも取ってるから蒼士郎くんより先に帰るんだろうな。


「さーて行くぞ。今日は背中の日だ……お?」


続いて胸を開くように両腕を伸ばしす。思い切り胸を張った瞬間、パンッと小さく弾ける音がした。
何今の音、と思ったら胸元から白くて丸い物が飛んで地面に落ちた。


「おっとボタンが……」

「ひゃー!ほんとに弾けた!」


なんと、胸を張った拍子にワイシャツのボタンが弾け飛んだ。
嘘でしょ赤嶺くん。ほんとにボタン飛ばせるほどバルクアップさせてるわけ?
腰を屈めて赤嶺くんが拾い上げたのはやっぱりワイシャツの白いボタン。

ボタンが筋肉に負けた瞬間を目撃した蒼士郎くんは口をぽかんと開けて唖然としている。
しかし、不意にハッとしたように赤嶺くんを睨んだ。


「自分で縫ってくださいね赤嶺さん」

「ふふ、成長してるな俺」

「全然俺の話聞いてない」


しかし、飛ばしたボタンをうっとり見つめながら笑う赤嶺くんに呆れて眉間のしわを解く。
なんか、赤嶺くんのおかげで私たちお互いに変な緊張が飛んだかも。
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