悪魔は夜に笑う
そうなると、私に対してはまだ素を見せてくれる機会が少ない気がする。
私も蒼士郎くんの心理を手探りしてる状況だからなんとも言えないけど。


「じゃあ私も帰るね」


ちょうどいい。赤嶺くんの乱入で蒼士郎くんも気分をリセットできただろう。
私はカウンター席から降りてバックを肩にかけた。


「愛結那、今日家行くから」


すると背後から聞こえた蒼士郎くんの落ち着き払った声。
私は驚いて振り返った。

どんな表情をしているのかと思えば蒼士郎くんは朗らかに笑っていて驚いた。
そんな笑顔を見せてたって、私だって断る時は断るんだから。

そもそも最近蒼士郎くん、しょっちゅうウチに来てない?



「帰ったらすぐ寝るからだめ」

「寝てていいよ。でもあゆなさんは優しいから鍵開けてくれるよね?」


でも知ってる。行くと決めた蒼士郎くんが、散歩の終了を全身で嫌がるワンちゃん並に頑固だってこと。
私がここでどんなに断っても蒼士郎くんは来るんだろうな。

私は「どうだろうね」と不敵に笑ってお会計をお願いした。
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