悪魔は夜に笑う
インターホンが鳴ったのは午前2時。
ソファで寝落ちしてきた私はのそのそと起き上がって暗い部屋の中で光るインターホンの画面を見つめる。
そこに映っていたのはやはり蒼士郎くんで、私はなぜか彼が来てくれたことに安堵した。

目を擦りながらオートロックを解除し、玄関のドアの鍵も開けてからベッドに潜り込んだ。


「あゆなさん、ただいま」


数分後、蒼士郎くんの声がして目を開いた。
蒼士郎くんはベッド横に片膝を立てて座っている。
そしてタバコ臭い。また仕事終わりに一服してきたな。

蒼士郎くんが口角を上げて私に手を伸ばす。惚れ惚れするような笑みをだけど今はハグしないで欲しい。
だって仕事終わりだしタバコ臭いし。


「抱きしめたいならシャワー浴びてきて」


そう冷たく言うと蒼士郎くんは笑った。


「起きてたの?」

「タバコ臭くて目が覚めた」

「あゆなさんタバコ苦手だっけ?昔吸ってなかった?」

「吸わなくなると臭いと思うようになった」


問いかけられて思い出した。確かに半年間だけ吸ってる時期があったと。
タバコを吸ってたのは当時好きだった男が吸ってたから。
だってそうしたら喫煙所で話せるから。
なんて下心ありきでタバコ吸ってたなんて蒼士郎くんには言えないな。

そもそもあの人、まさかのシンガポールに出向になって告白する前に玉砕したっけ。
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