悪魔は夜に笑う
「前向きで羨ましい」


いつもならこんな呟き、蒼士郎くんは軽く受け流すだけ。
だけど振り返ったから驚いた。


「赤嶺さんの陽気な性格のせいかも。一緒にいると楽しいよね、ああいう人」


帰ってきた答えに耳を疑った。
蒼士郎くんみたいなクールな人って熱血系苦手そうなのに一緒にいて楽しいって思えるんだ。


「意外、一緒にいると鬱陶しいって思ってそうなのに」

「赤嶺さんうざいって思ってたらあゆなさんみたいなタイプに惹かれないけど」

「確かに」


続く言葉に妙に納得した。
私が好きってことはつまり、蒼士郎くんって騒がしい人嫌いじゃないんだ。
歴代元カノが優等生タイプばかりだから、物静かな人柄を好む傾向かと。


「赤嶺さんは筋肉バカなだけでそれ以外は本当に尊敬してる。あゆなさんは変顔と寝顔がこの世のものとは思えないだけで、それ以外はどこを取っても俺好みだよ」


私って蒼士郎くんのことまだまだ知らないな。
そう思っていたら赤嶺くん経由でバカにされたような褒められたような。

顔を上げると蒼士郎くんの手の中でスマホの画面が光っていて、目を凝らすと私の変顔を拡大して見ているのが分かった。


「ちょお、待ちや!いい加減それ消して!」


何回擦ればいいんだ私の変顔を。私のリアクションが大袈裟だからそれを楽しんでるだけでしょうが。
蒼士郎くんは慌ただしい私の反応を見つめ、鼻を鳴らすように笑うと今度こそバスルームに向かった。
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