悪魔は夜に笑う
飲んでしまえば負の感情なんて薄れるもので、酒豪の友達が連れてきたから1時間もすれば酔っぱらい3人衆が出来上がった。


「赤嶺くーん、友達が筋肉自慢聞きたいって」

「任せてください愛結那さん」


前回マスターと蒼士郎くんにメロメロだった友達は新顔の赤嶺くんに興味津々。
赤嶺くんは持ち前のポジティブとノリの良さで席に来る度に笑わせてくれる。
お通夜みたいな空気になったらどうしようと心配だったけど、お腹が痛くなるほど笑って飲んで楽しい時間を過ごすことができた。


「マスター、今夜も楽しかったです。ありがとうございました」

「こちらこそ。愛結那さんが居るとお店が明るくなった気がして、僕も華やかな気分になります」


今夜もラストオーダーまで長居させてもらった。
少し騒がしかったかもしれないけど、3人で10人分に匹敵するくらいお金を使ったからマスターも許してくれるはず。
そもそも、マスターが最後まで残ってって言ってくれたからね。


「そういえば渡したいものってなんですか?」


友達は外でタクシーを待ち。私は会計担当でマスターとお店にふたりきり。
入店時に言われたことを思い出して尋ねると、マスターは顔を曇らせた。


「……すみません、こう言わないと残ってくれないだろうと思って」

「え?」

「彼が愛結那さんとお話したいそうです」


マスターは含みを持たせたようにぽつりと呟く。
視線を誘導するように片方の手のひらを天に向けそのままスライドさせ、指先をカウンターの方向に向ける。
すると、バックヤードから青白い顔の男が顔を覗かせた。


「蒼士郎くん……」
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