悪魔は夜に笑う
「いって……」


だが私はそれどころじゃない。
裸のままベッドから飛び出しバスルームへ。
脱ぎ散らかしていた下着を身につける。
だけど脱いだはずの服が見当たらない。下着姿のまま捜索するとご丁寧にハンガーにかけてあった。

くそう、気遣いにときめくな私。
きっといろんな女に同じことしてるはず。


「どーしてくれんの、もうお店行けないじゃん」


服を着ながら抗議すると、蒼士郎くんは特に顔色も変えずにあごを擦っている。
常連客とワンナイトしておいてなんとも思ってない感じ?


「今日はマスターに愚痴りにくるんですよね、連絡したらそれは急いで沖縄から帰らないとって言ってましたよ」

「じゃあ絶対行かないと」


服は着た。バッグも発見した。でもスマホがないな。
見渡すとスマホはなぜかベッドの上に無造作に置かれている
なぜそこに?取り出した記憶はないのに。


「ねえ待って」


スマホを掴むと同時に蒼士郎くんに腕を引っ張られてバランスを崩したから、ベッドに座り込む形に。
顔を上げると彼の顔が目の前にあった。
驚いて目をつむると、口に柔らかい感触が。
重ねるだけのキスだけど、昨日の情欲を呼び覚ますには十分で。


「私のこと、どうしたいの?」


考えないようにしたかったのに、喉元につっかえていた疑問を口にしてしまった。
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