悪魔は夜に笑う
「だって元カノちゃん……超可愛かった!」


幼子が泣きわめくように、目をつむって思いの丈を打ち明ける。
打ち明けるというより感情のままぶちまける、の方が日本語として正しいかも。
とにかく、蒼士郎くんの反応をリアルタイムで見ながら言葉を放ちたくなかった。


「あんな子に言い寄られたら誰だってぐらっと来るでしょうが!勝ち目ないって思うよ!」


あの元カノが彼の心残りだったのは知ってた。
飄々としている蒼士郎くんが、あの子にフラれた時だけは目に見えて分かるくらい落ち込んでた。

私とあの子を天秤にかけたら、選ばれるのは私じゃないってことも。


「ほかの女の影に怯えるのが嫌だった。だから一方的に関係を切ったの。私が耐えられないから」


私はただ、穏やかな恋愛がしたいだけ。
他人の縁を結び付ける、なんて馬鹿げた不確定要素を恐れずに普遍的な恋がしたかった。

異性との出会いがそこら中に転がっている蒼士郎くんでは、いくら愛を囁かれたって不安ばかりが募る。

それでも一緒にいたら楽しくて愛しくて。このままだと堕落したら蒼士郎くんに捨てられた時に立ち直れないと思った。
話し合わず突然連絡を断ったのは、人として最低な対応を取ることで幻滅して欲しいという願望もあった。
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